「由親、」

「なんだ?」

「…必ず、生きて帰ってくると千与に約束してくれぬか?」

じっと由親の瞳を見つめ、千与は切に願うことを告げた。

「―ああ。」

そう小さく微笑み、由親は頷いた。今にも泣き出しそうな千与にはそれしか言えなかった。

"戦で命を落としてもそれは武士にとって名誉"だと言えなかった。

「生きようぞ、共に。」

千与は微笑んで空を見上げた。そこにはどこまでも続く真っ青があり自由に泳ぐ真っ白な雲があった。
下界と真逆の穏やかな風景。