「―千与、主の父上はもしや基成(モトシゲ)か?」

「はい、私の父上は基成です。父上はあなた様のようなお方の為に、日々精進ことを肝に銘じておることを誇りに思うております。」

そっと胸元からロザリオを取り出し、直に触れる冷たい金属。

恐らく信長殿は伴天連が来ることは恐怖でもなんでもなかった。


「あ、信長様。」

一歩先を歩く信長を止めて、また小さな後悔。

「…っ、信長様にも神の御加護がありますように。」