一瞬、戸惑いの色が出たジョゼだがすぐ笑顔を作り、頷いた。

「まず、どこからお話をしたらよろしいでしょうか?」

「どこからでも構わぬぞ?千与は、知りたいのです。天主教とは一体どんな教えなのですか?」

真剣な漆黒の瞳は迷いがなかった。

「キリスト教と云うものはっ、」

すう、と深い深呼吸を一つ。きゅっと大切そうに握られるロザリオ。

ジョゼはゆっくりと、丁寧にキリストの教えを説いた。神が世界を一週間で創造したことや、アダムとイヴのことも、事細かく丁寧に、千与の心に響くように彼は説く。
ジョゼの一言一句を真剣な眼差しで千与は耳を傾ける。その瞳は徐々に輝きが増した。

「ジョゼ…いや、ジョゼ様。千…わらわも今からでも、遅くないか?」

「え?」

「わらわも、キリシタンになりたいのです!」