ジョゼは芝生の上で大の字になり空を見た。遮るモノがない直接見える青い空。

「千与殿、そなた様はその想いをひた隠しになさるのですか?」

ゆっくり立ち上がり、ジョセはじっと千与の目を捕らえる。

「…わかりませぬ。」

「人間は互いに愛を育ませる生き物です。互いに慈しみ合い、尊敬し合うのが唯一出来るのでございます。」

千与はその言葉にゆっくり顔を上げる。

「私は、神の教えを忠実に守る。それが、私に課せられた唯一のことなのでございます。」

「神の、教え…。」

「はい。私は生涯を神の教えに捧げようと誓っておるのです。」

ジョゼはそう言い、自身のロザリオを握りしめる。

「―ジョゼ、よろしかったら千与に天主教の話をしてくれんか?」

彼の真っ直ぐな信仰が、千与の瞳には輝かしく見え、彼女はそう口に出した。