空に散らばる星屑を眺めながら、二人は他愛のない話をする。
その時間はまるで昔のまだ今のように戦で染まる前のあの子供の頃に戻ったかのような平穏さがあった。

「さ、千与。そろそろ家に戻ろう。風邪をひいては困るだろう?」

すくっと立ち上がり、由親は千与に笑顔を向ける。
千与は小さく頷き、ゆっくり立ち上がる。

「久しゅう星を眺めたことはなかったが、やはりよいものだな星は。」

「そうだな。」

月が照らす殺風景な道を歩く二人はそれきり黙っていた。沈黙が、嫌じゃない。
千与も由親もこの沈黙は嫌いではない。特別な話題がなくとも、こうして二人で同じ時間を共有する。
それが、二人のささやかな幸せだった。