*****


列車は都会の街並みを抜けて、山の中を駆ける。


紅葉を終えて冬の気配を感じさせる、乾いた木々の風景。


感傷的になっているせいか、すべてがセピア色に見える。


なんてさびしいのだろう。


彼の写真にはいつも、あたたかい色があふれているというのに。


と、思い出して悔しくなる。


何を見たって彼を思い出してしまう。