要するに、ヤキモチだった。
「仕事と私どっちが大事なの!?」
なんていう女は最低だと思っていたけれど、まさか自分がそんなセリフを吐く日が来ようとは。
でも、物事には限度がある。
彼の行いは、許される範囲をじゅうぶんに超えていたと思う。
だから、私が今、ふてくされた家出娘よろしく携帯電話を持たず、
誰にも行き先を告げず、北へ向かう列車に飛び乗ったことを一体誰が責められようか。
私はどちらかといえば聞き訳のいい女だったんだ。
そんな私をこんなふうにしたのは彼なんだから。
私の言葉に、せいぜい困り果てていればいい。