なんなの。あの女は。


加奈子がユキを好きだという事はわかる。


それは加奈子の話し方、あたしへの敵意から気づいたというよりも、ドアを開け出会った瞬間から至極あたり前のこととして理解したように思う。

ユキの側にいる事を許された女でユキに恋をしない女がいるはずがない。

みんな彼に惹かれていってしまうのだから。


だから加奈子の恋心は理解できる。


しかしあの態度。


いつもならこのような状況になった時、あたしは男を自分の虜にして相手の女をギャフンと言わせるところ。


だが今回は相手が相手。

ユキともなるといつもしている事が効くとは思えない。


加奈子をギャフンと言わせる事は難しい。


それがあたしのどん底のハズの機嫌をさらに悪化させた。