結局無駄足だったようだ。
くだらない猫探しは、そもそも家出ではなかったんだから。
まあ、いいか。
家は、すぐ近くだから。









しかし、無情にも携帯の呼び出し音が鳴った。




『何か?』



『すいません、あの猫の飼い主が今から猫を探して欲しいと連絡があったんです』




『俺も行かなきゃならないわけ?』



『宏美さんも呼びましたから』





仕方なく立ち上がった。
ああ、めんどくせぇ。
あれは、終わった話じゃなかったのかよ。





葵さんからの話によれば、何でも猫は戻ってきたらしい。
だが、すぐに居なくなったんだと。