「そんなことはもう、どうでもいいんですよ。動くと、彼女を殺します」



銃口は、私に向けられた。
その途端、誰も動けなくなった。





‘弾は入っていたか…いや、あるとして1発’




石山教授の声が、聞こえた。
切羽詰まったような声だ。
きっと、冷静な気持ちを忘れているんだろう。




私は、石山教授の元へゆっくりと歩み寄っていった。



「動くな!撃つぞ」



そんな威嚇は、不思議と怖くない。
彼は自覚しているはずだ。
今撃てば、手が震え当たらないと。
もし当たっても捕まってしまうんだとも。