話がかみ合ってないことは気にせず今度は床に座って先ほどの銀の鍵で黒いトランクを開ける。
「カラ?」
「……あ、そうだ俺のじゃなくて…アッシュ」
僕のほうを見た。
「何?」
「鍵でコイツ開けてくれ」
バタンとトランクを閉めて指差す。
「……は?さっき開けたらなんもなかったじゃない」
「だって、俺の鍵だし…いいから、ほれ、せっかく鍵出したんだから開けてみろって」
「や、だって鍵穴…」
「説明するよか早いから」
「……」
訳が分らないまま僕はトランクの鍵穴に鍵を差し込む…どうせ合わないだろうに…。

カチッ…。

「…?」

カチャ…。

「…開いた?なんで?」
「こういうもんなの」
「説明になってないよ…ってか中身はカラじゃ……あ」
「カラじゃないだろ?だってお前のだからな」
ニヤリと笑い僕に言った。
さっき見たときはカラだったのに中には黒いローブと一冊の本が入っていた。
表紙には僕の鍵と同じ蝶が書かれている。
「ちなみにこのトランクは普段はしまえて必要なとき出てきます…―――荷物は全部ここに仕舞えて…あ、鍵もいらない時は消しとけよ―――んでこの本は…」
「ちょ、ちょっと待って!」
「何?」
「順番に、説明して」
ああ、とジェイドは咳払いをして説明を始めた。
「まず、このトランク、俺らの荷物入れな…必要なときに勝手に出てきていらない時は消えるから」
「それが僕の?ジェイドの鍵でも開いたけど?」
「開ける事は可能。ただしカラだけどな…自分のを持ってるやつが開けてもなんも入ってない…あ、コレさっきお前の鍵挿したからもうお前のな…説明終わったらしまっとけよ。」
「うん」
ジェイドはローブを手に取り広げた。
「で、これ、制服みたいなモン、もう着とけ―――ホレ」
広げたまま僕に投げ渡した。
「ぶっ……投げるなよ!」