「お前はもう生きていない、分るな?」
「…うん」
ジェイドは机に肘を付いて髪を指でいじりながら話し始めた。
「ここはお前のような者が来る…そうだな、預かり所とでも言っとこう―――大体のやつはここに来る前の記憶があるんだが、お前は全部落とした」
「記憶?」
ジェイドは小さく頷いた。
「で、だ…―――言いにくいんだが…ここに来るってことはお前そうとう…あの…」
段々声が小さくなり言うのを渋るジェイドに僕はため息をついてこう言った。
「今更何言われても驚かないよ…それとも僕はそうとうな『罪人』だったりするの?」
動きがピタリと止まり一度目を伏せてジェイドは言った。
「ああ」
冗談で言ったつもりの言葉にジェイドが迷うことなく頷いた。
「……じょう…」
「冗談じゃないさ」
翡翠の瞳は冷たい輝きを放ち真っ直ぐ僕を見つめた。
まただ…体の内側だけひんやりとするこの感覚…。
胸に手を当てても…。
「ぼ、くが…」
「……」
一息置いて『落ち着いて』僕は聞いた。
「僕が何をしたの?ただの、でまかせじゃないの?だって、僕は…!」
「僕は何も覚えてない」
そうだ…何も…だから…だから?
何か言わなきゃ…そう思っても言葉が出ない。
「お前だけじゃない…これから出会うやつらは皆お前と同じ罪を犯してる…」
「ほかにも誰か居るの!?」
僕は思わず声を上げた。
「そうだけど…あんまり喜べることでもないぞ?」
「―――でも、皆どこに居る?僕はこの空間から出られない、だけどここには誰も居ない…」
「それはお前が鍵を使ってないからだ」
「鍵?」
「そ、鍵」