一眠りして目が覚めれば僕の望む『現実』になってると思ったのに…。
「…」

コンコン…。

「…開いてる」

ガチャ…。

「無用心だなー、鍵くらいかけとけよ」
フードを脱いだジェイドが苦笑した。
今日は黒いトランクを持っている。
「別に泥棒とか居ないし…」
「まーな」
しばし沈黙が流れた。
「…受け入れたか?」
ジェイドが口を開いた。
「……うん」
もうきっと何度目が覚めても同じ、これが『現実』だ…。
僕は受け入れるしかない…。
「えーと、じゃあ改めて説明しますか…つーか昨日の威勢はどうした?いやに暗いよ?アッシュ」
「また椅子でも投げるか?」
遠慮します…と手を軽く上げた。
「ジェイド、一つ聞きたい」
「ん?」
昨日はパニックになって考えもしなかったが今になって考えたことがあった。
「あんたは、昨日『どこに』帰ったんだ?」
「なんだ、それか…それも今からまとめて話すさ、まあゆっくり聞いてなよ」
「わかった」
「さてと」
僕とジェイドは椅子に腰掛け話しを始めた。