「お前、もう生きてないから」
最初の説明第一声。
「冗談言うなよ…だって、死んだ覚えない」
「そうだな…お前全部落としたもんなー…。」
「だから何を?」
「キ・オ・ク…あ、心臓動いてないだろ?」
…馬鹿げてる。
僕はそう思って苦笑した。
「だからつまらないって…僕は…―――っ!」
胸に手を当てたとき言葉が出なくなった…。
「……」
ジェイドは僕をフード越しで見つめた。
僕は体の内側から一気にひんやりとして手が震えた…。
呼吸はゆっくりと大きくなり口が渇く。
(―――嘘だ…嘘だ!…こういう時、普通なら…!)
胸に当てた手に力が入る。
「だから言ったろ?…お前は…」
「嘘だ!!!!」
勢いよく立ち上がりジェイドに掴み掛かる。

ガタッ…!


ジェイドは僕が掴み掛かった反動でドアに体を強くぶつけた。
「いって…」
「嘘だ!信じない!お前が隠したんだろ!返せ!返せよ!!」
自分でも何を言ってるか分らなかった。
けど、あまりにも信じられなかった。
僕はジェイドから手を離しもう一度胸に手を当てる。
(こんなに息は乱れてるのに…―――そっか、これは…)
「夢じゃないぞ」
咳き込んでピシャリとジェイドは言った。
「ったく…そんな細腕のどこにそんな馬鹿力…―――っ!!」
ジェイド目がけて椅子が飛んできた。

ガンッ!

「―――何すんだ!」
椅子を避けて僕に向かって言った。
「出てけ…もう、起きなきゃ」
悪夢だ…クラクラする。
「ずいぶんと気が強いってか荒いっていうか…少し考えな」
ドアを開けて部屋を出て行こうとするジェイドは首だけ向いてこう言った。
「『起きて』この部屋だったら受け止めるんだな…今度はちゃんと話聞けよ?アッシュ…」
「アッシュ?」
「お前の事、その灰色の目で、な…髪は見事に黒いのになぁ」
…思いつきか。
「……あんたは翡翠色の目でもしてるの?」
どうせ最後だと思って聞いてみた。
「ん?」
ジェイドは口元で笑いフードを取る。
漆黒の髪と見事な翡翠色の瞳をし、声とは違った中性的な顔立ちの青年が得意げに言った。
「キレイだろ?じゃーな」
静かにドアを閉めて出て行った。
「自分で言ってるよ…」
僕は部屋にあったベッドに倒れこむようにそのまま眠りについた。