目が覚めた時、小さな家の中に僕は居た。
外観は赤レンガで造られていている最低限の生活が出来る様な所だったが外は夜のように真っ暗で大きな月だけが空に輝き、黒い大きな羽を持った蝶が飛び交っていた。
建物から出てほかの場所に行こうとしたが大きな穴の開いた木を通りすぎると何度やってもここに戻ってきてしまい一旦諦めて中に居ることにした。
僕は見覚えの無い真っ白な服に身を包んでいた。
訳が分らずただ椅子に座って机の向かいにあるもう一つの椅子を見つめながらボーっとしているとドアがノックされた。
僕は勢いよく立ち上がり誰かも確かめずにドアを開けた。

ガチャ…!

「ずいぶん無用心だな、今度の奴は」
僕の目の前には黒いローブにフードを被った男が立っていた。
声は結構低い。
「……誰?」
僕がそう言うと男は大きくため息をついて言った。
「それはドアを開ける前に言うことだろ?…やれやれ、大丈夫かよ、こいつ…上がらせてもらうよ」
僕を押してズカズカと部屋に入って男は椅子に足を組んで座るなり僕にこう言った。
「さぁーて…早速だけど初仕事いってみようか?……えーと?名前は?」
いきなり来てきて何を言ってるのかさっぱり分らず僕は言った。
「あんた誰だよ?いきなり来て仕事だって…それに…」
「俺はジェイド、初仕事はある男の心を修理、掃除すること……知ってるだろ?」
僕は首を横に振った。
「…名前は?」
「…名前は…―――…あ、れ?」
少し驚いて男は口に手を当ててぶつぶつ言い始めた。
「……マジで?…えー…そっかぁ…見事に『全部落とした』かぁ…んー…」
「…何なんだ?」
「よし!」
勢いよく男は立ち上がり僕に近づきこう言った。