彼女がマグカップを包み込むように持って、紅茶を一口飲んだ。



「彼氏って…前に手話教室に迎えに来てた人?」


「……はい…」



マグカップをテーブルに置いて俯く彼女。


何でこんなこと聞いたのか……。


自分でもわからなかった。



「ゴメン……」


「いえ、いいんです…。遊びだったんです……」


「えっ?」


「私とは最初から遊びだったんです……」



確かに遊んでそうな男だったな…。



「そっか……」



俺は何て言っていいのかわからなかった。



「でも誕生日の日にフラなくてもいいと思いません?」



彼女が顔を上げて、泣き笑いの顔をしながら言った。



「誕生日?」


「私、今日が18歳の誕生日なんです…」



涙を流しながらそう言う彼女。


頬を伝った涙はポタポタと床に落ちていった。