「……」


「……」



あ、あれ?


何も降ってこない……?



そう思ったと同時に、



「顔、上げて」



降ってきたのは穏やかな優しい声。


顔を上げると、もう男の子の顔から険しさは消えていて、声と同じ程の穏やかな表情に変わっていた。


男の子の目線の高さはあたしより少し上ぐらい。

体格や顔つきを見ても、やっぱり同い年ぐらいに見える。



「許してくれるの?」


「おう。あんたの変な声が聞けたからそれでチャラにしてやる」


「……あっ…」



あたしは思い出して片手で口を覆った。


突然声をかけられて変な声を出してしまったんだっけ。


男の子は「ふっ」と軽く笑って話を続けた。