――うわぁ…
図書館を出たあたしは、思わず足を止めた。
目の前に広がるこの街一大きな川。
その川面が夕日に照らされキラキラと輝き、まるで宝石が流れているようだった。
「……キレイ……」
込み上げる感動に思わず呟き、本を胸に押し当てた、時だった。
「おい」
「ひょえっ」
背後からの突然の声に全身が飛び跳ね、変な声を出してしまった。
「さっきはよくも笑ってくれたな」
後ろを振り向くと、また会いたいななんて思っていた男の子が腕組をしながらゆっくり近付いてきていた。
まさかまだ居るとは思ってなくて、嬉しいんやら、驚きたいんやらで感情が入り交じり、パニックを起こしそうになる。
でも、険しい表情で近付いてくる男の子にあたしは慌てて頭を下げた。
「ご、ごめんなさいっ」
やっぱり人の失敗を笑うことはいけないことだから。
ザッ、ザッっと足音が近付き、男の子の靴のつま先があたしの視界に入った。
何を言われてもいい覚悟をし、頭を下げたまま両目を瞑った。