閉館10分前。



退出してくる人とぶつからないように、メロディーが流れる館内を走り抜ける。




2階へとかけ上がり、


目的の棚の前に辿り着くとすぐに、棚に並べられた本のタイトルを指でなぞるようにして目を通す。



吐く息は熱く、吹き出た汗が洋服を張り付かせる。



「あっ、あった」



目にとまった本のタイトルを確認して棚から抜き取ると、本を胸に抱え込むようにしてカウンターへ向かった、その時



……あれ?



1階の閲覧室の一角をチラリと見て、あたしは足をとめた。