「だって、慧が..」


慧があんなに悲しい顔をしてたから。

自分もいつかそんな気持ちになっちゃうんじゃないかって・・

「慧君が何かしたのか?」

「違うの、慧は悪くないんだけど」

「恋、か」


クスッと笑ってから本をパタンと閉じてまっすぐあたしを見る。


頭が良くて、何でも知っていて。

あたしの大好きな自慢のパパ。


「心は今好きな人がいるのか?」

「え?」