慧は言ってた。


恋は

辛くて、触れたくて、恋しくなるって。


そんなに辛いものなのかな?

悲しいものなのかな?


気になって、しょうがなくて。



「パパ?」

家に帰ってすぐにリビングでくつろいでいるパパの背中に声をかけた。

難しい本を読みながらあたしを見たパパは少し驚いた顔をして
から口を開く。


「どうした?もう寝る時間」

時計の針は9時を過ぎたばかりなのに。

未だにあたしを早く寝せようとするパパに少しだけおかしくなる。


「ごめんなさい。あのね、聞きたいことがあるの」

「なんだ?勉強の話か?」

「ううん、そうじゃない」

「じゃあ何だ?」

「パパはね、・・そのママと恋して辛くなった?悲しくなった?
辛くて、ママに会いたくなった?」

「どうしたんだ、急に」