よいしょっと、ブランコから高くジャンプをすると

「帰ろう」

慧が言った。


恋は辛いんだ。

苦しいものなんだ。


会いたくて、恋しくて。


「うん」


それでもいまいち分からないままそう頷くと

先を歩く慧の後ろ姿めがけて走った。



ぎ―ぎーっと寂しそうに揺れているブランコの音がいつまでも

耳から離れなかった。