何も言い返せないあたし達一家に

ガタンっと席を立った慧が


「俺は心とは結婚する気ないですから」


はっきりとそう言ったんだ。



その顔は真剣で。

あたしをまっすぐに見る。

「オジサン、オバサン、すみません」

深く頭を下げてそれからこう続けた。


「心は俺にとって家族みたいな存在だし。
それに..俺には好きな人がいますから」


いっつも違う女の子を連れてるくせに。

特定の彼女は作らないって言ったくせに。


でも何だろう?


とってもまっすぐで

そんな初めて見た慧を

あたしは素直に応援したい気持ちになった。




「運命だって・・俺は信じたいんだ」