「立宮景くん!」



「あ゛?」

立宮景が振り返る。

「立宮景くん……」



「あぁ、反堂か。ま、俺のこと名前で呼ぶの、お前しかいないからわかるけどな!」



わざとらしい笑顔をスイレンに向ける立宮景。



「本当に、いなくなるの?立宮景くん…」



「いっつも思ってたんだけど、なんでお前、フルネームなの?
名前覚えてくれたんなら、名前で呼んでよ?」



立宮景はやっぱりわざとらしい笑顔を向けて言った。





スイレンは、大きく息を吸うと、




「景くん…」



と言った。



立宮景は、満足そうに頷くと、後ろを向いた。



「ありがとうな……スイレン。」