赤族のみんなは、ナデシコにとても気を使ってくれた。
ナデシコも、笑顔になれた。
「ナデシコちゃん……だよね?
あたし、葉南っていうの。」
お腹の大きな女性が、ナデシコに話し掛けた。
「はい。あの……?」
「あ!いきなりでびっくりしたよね?ごめんね。
片岡君から聞いたとばっかり思っていたから」
「葉南。」
片岡先生が後ろからやってきた。
「あ、片岡先生の奥さん?」
2人は頷くと、とても幸せそうに笑った。
「いいなぁ。」
つい口を突いて出た言葉に、崎冬馬が反応した。
「なに?雅は子供が欲しいわけ?」
ナデシコは顔を真っ赤にする。
「ち、違う!いや、欲しいけど、そういうことじゃなくて…」
片岡先生と、葉南さんは、あははと笑っている。
ナデシコは、さらに恥ずかしくなって、下を向いてしまった。
「崎先輩は、いつでもいいみたいですね。」
片岡先生がニヤニヤと言った。
「片岡くん!そういうこと言ったら…!」
すかさず葉南さんが突っ込む。
「俺、今夜にでも本気になるよ?」
と、崎冬馬も、笑っていた。
恥ずかしいながらも、今の言葉を聞いて、嬉しくもなるナデシコだった。