「こんなことになって、この子、不安だと思うんです。 午後には私帰ってくるので、それまでそばにいてやってくれませんか?」 崎冬馬ははっと顔を上げた。 「俺で、………良かったら。」 ナデシコの母親は、微笑むと、仕事に出かけて行った。 「………先生?」 ナデシコがキュッと袖をつまんだ。 「ん?」 崎冬馬は振り返る。 「……………なんでもない。」 ナデシコはうつむいて、ソファに腰を下ろし、クッションを抱いていた。