─崎冬馬 高校1年 春─
「今日から、君たちにとって、高校生活の最初の1年が始まる。
分からないことがあれば、いろんな人にきくといい。
友達はどんどんつくりなさい。
以上。」
やけに短い校長の挨拶。
一流の高校も、こんなものか。
「面倒くさい…」
崎冬馬はずいぶん荒れた性格の持ち主だった。
校内で一番怖いと言われる先生でさえ、手も足も出せなかった。
いわゆる不良。
しかし、成績はやけに良いときた。…誰も文句など言えない。
友達は3人。
つるむ暴走族の連中は崎冬馬をこう呼んだ。
「チョー!」
この他はすべて、崎冬馬にとっては「どうでもいいモノ」だった。