「はぁ?!」



英語準備室でも、ツバキは大声を出された。

立宮香に、である。



「だって、見てられなかったんだ。ナデシコのあんな顔…」



「怒ったやつに殴られたらどうするつもりだったんだよ!
あいつ、高校のときなんか、バイクは乗り回すわ、
まあそれは俺もだけど。
学校の不良どもに目をつけられて、1人で何十人も半殺しにしたんだぞ?!」



「だったら殺されてもいい!こんなの、許せない!」



「だからと言って………」



「わかんないならいいよ!
そうだね、立宮は見てないから!ナデシコの今の顔を見たら、誰だってこうなるよ。
バカ立宮!いっぺん死ね!」





──バン!



「谷沢、今度は反抗してきたの?」

「た、立宮弟……」



背の高い、金髪の男が立っている。

「弟って言うなよ!」

「うるせー。未来の姉貴に何を言うか、弟が。」

「てめー。俺には景というすんばらしい名前があるの!
ったく、おまえら人の名前くらい覚えろよな!」



「はいはい。ケイちゃん、ごめんなさいねー。」



「てめ、まじ殺す」

頭にムカマークをつけて、立宮景は拳を作った。

「わかった!ごめんって!な、ヤクザの弟には目をつけられたくないんで!じゃね!」



ツバキは廊下を走りだした。