ツバキはダンッと机をたたく。
「そうだけど、そうだけど!
あの子泣いてたんだ。うちらの寮の中で、嘘つかれたって……
なんで、……」
崎冬馬はツバキに言わせなかった。
「嘘じゃねぇよ!
あいつに嘘なんかついてない。
たしかに、たしかに俺は何人もの女と付き合ったし、同時に複数と関係を持ったこともある。
でもそれに愛情なんて微塵もなかった。
……人を好きになったのは、雅が初めてなんだ。」
今まで驚いたように話を聞いていたツバキは、頭をぐしゃぐしゃとかいた。
「先生、自分で言ってやれよ、ナデシコに。
あいつ、待ってるよ……」
ツバキは静かに部屋を出た。