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「冬馬君、私と付き合ってよ。好きよ?」
「俺、何も買いませんよ?」
「いいのよ。お願い。
私、あなたしかいらないもの。」
崎冬馬と恵理香がちょうど二十歳のとき、2人は付き合い始めた。
崎冬馬はすぐに恵理香に飽きて、他の女性のところへと行きはじめた。
崎冬馬のピアスは、日に日に多くなっていく。
「冬馬君、寒いな。暖めてよ。」
「いいですよ。」
恵理香はめげずにアピールし続けた。いつかは自分に振り向くと信じて。
───しかし、
こんな付き合いが通じるはずもなく、崎冬馬は恵理香といても、携帯をいじってみたり、酷いときには別の女性と電話をしていた。
「ねぇ、冬馬君は私のことが嫌いなの?」
「いいえ。
嫌いではありませんが、好きでもありません。」
「じゃあ、何故付き合ってくれているの?」
「来るものを拒んでどうするんです?」
崎冬馬は、やはりそのルックスからか、女性にモテていた。
それをわざわざ拒むのも、面倒だったのだ。
「そう。ごめんなさいね。……さようなら。」
クリスマスイブの日に、2人は別れた。
1年ごしの彼女の努力は、報われなかった。
────番外編END────