「そういえば、恵理香さんがまた会いたいって言ってたよ。」


「俺は嫌だ。もうあんなのとは会いたくない。
俺にはもうれっきとした彼女がいるんだ。
お遊びに付き合う義理はねーよ。」



イライラとした口調でしゃべりながら、崎冬馬は冷蔵庫をあけ、1リットルパックから直接、牛乳をがぶ飲みした。


「先生って、女の人とお遊びの付き合いしてたの?」


ナデシコは、果南斗の横で、ちょこんと座っていた。



「3年前までだよ。教員になってからはさすがにねーよ。」


「本当に?ありえないわー!
そんな男の人にファーストキス奪われたなんて、信じたくなーい!」


ナデシコが絶叫していると、果南斗がナデシコの肩を叩いた。

「まあまあ、今はあなた一筋なんだから、いいじゃない。

昔の冬馬なんて、髪は今より濃かったのよ?今は自毛だけど、染めてたし、ピアスなんて片耳にいくつも。
今してるピアスは、鍵の型してるけど、どんな意味か知ってる?」


「いや………」



「お前、しゃべりすぎ……」



「いーもん。恵理香さんに言っちゃうから。新しい彼女は高校生って!!」



崎冬馬は牛乳パックをだんと机に叩きつけると、

「まじ帰れ、このクソアマ!」



…………と言い放った。