「おい、そこの茶髪のお客さん!!
うちの店員に何してんの?!」
「……か、金子店長!!」
そう。声を荒げて2人に近づいてきたのは、この店の店長だった。
崎冬馬は振り向くと、
「見てのとおりだけど??」
といった。
店長は怒りにワナワナと震えだした。
「あのっ、金子店長!
あたし、大丈夫ですから、本当に!」
「そんな嘘を言わされるなんて…」
「違います!
嘘じゃないんです!」
なんて説得力のない言葉とシチュエーションだろうか。
客と思われる男に抱えられながら、涙目で「大丈夫」だと言う。
店長は、崎冬馬に叫んだ。
「その子をおろして解放しなければ、警察をよぶぞ!!」
崎冬馬はしれっと言い放つ。
「無駄。俺ら付き合ってるし。」
ナデシコはそれを言いたくなかったのだが、崎冬馬は完璧に楽しんでいた。