「フランスの警察になったのは、おじいちゃんがいたからで、べつに大した理由とかはないんだ。
ほら、追われてばかりの生活も終わったし、いい機会だったから。冬馬も15まではフランスにいたしね。」
あははと笑いながら十神はシュウマイを口にした。
冬野はその間にも、大盛ラーメンをたいらげていた。
「あたしは親を説得するの大変だったんだけどね!あんたみたいなヤツ信用できないって、さんざん反対されて。ま、冬馬をみせたらコロっと態度変えてさ。ホント、バカ親。」
呆れたように話す冬野の口には、フカヒレが挟まれていた。
「あんたらさ、遠慮とか知れよ。ここは日本だよ?」
崎冬馬が口を開く。
こんな笑いの絶えない時間を、ゆったりとすごしていたナデシコのケータイが、
突然鳴りだした。