「ちょっと待ちなさいよ!」
変な女の誘いに乗るんやなかったな。
バーで会ったこの女、何を勘違いしたんか知らんけど部屋に入れて、2人で酒飲んだだけで彼女面してる。お前に恋愛感情なんかないわ。
「何で待たなあかんの?」
女にそう言ってやると、
一瞬で泣きそうな顔になる。
この女も結局は泣き落としか。
「ひどい。…私たち昨日の
出会いから、付き合ってるん
じゃなかったの?」
だから、部屋に入れてくれたんでしょ?そうでしょ?と明らかに頭が悪そうな濃い化粧顔で俺にすがりついてくる。
俺は、一体いつ付き合うって言葉を口にしたんやろう。確実に言っていない。この女、泥酔してるから妄想と現実の見分けついてないな。
「付き合う、とか言った覚え
まったくないんやけど。」
男の部屋に簡単に入って、やる気満々な女、彼女にする気なんかないわ。お前にはもっともっと軽い男がお似合いやな。
「…最低。」
涙を流しながら、部屋から
出て行く女を冷たい目で見る。
最低はどっちやねん。