この学校に来てから、何度か細見の噂は耳にしていた。


とにかく近づいたらダメ、と、友達から何度も注意されたのにも関わらず。


私は細見の机の上にあったジュースを倒してしまったことがあったのだ。


最初、ジュースはカバンに隠れて見えなかった。


でも、私は見てしまったのだ。


「おい、てめぇ……」


後ろから殺気を感じ、背筋が凍った。


目の前には、どう見てもイチゴオレがこぼれている。


「ごっ、ごめんなさいっ!」


一瞬、私の頭にお花畑が見えた気がした。


「……パシリ」


「……へっ?」


「罰として、今日から俺のパシリ」






そんなこんなで、私は一命を取りとめたのだった。


本当に、なんて不運な女子高生なんだろう……。