でも、学問の師は敵国の王子で、剣術の師はその王子の側近というのは、いかがなものか。

剣術を教えてやるというクリムゾンの申し出はありがたかったが、その申し出をさせたのが、イリアだと知った時は驚いた。

「私はあなたの命を狙うかも知れませんよ」

真顔で告げると、それなら良い剣が必要だと、自分の剣を鞘ごと抜いて押し付けてきた。

柄の部分にいくつもの宝石が埋め込まれ、精緻な彫刻が施されているそれは、イリアに初めて会った時、目の前に放られた剣だった。