何気ない言葉のやり取り。

感情を表に出さない少年が、少しだけ別の顔を見せる午後のティータイム。

ポケットから取り出した小瓶から、紅茶にたらされる真紅の雫。

ふわりとただよう甘い香り。

鮮やかさを増す紅茶の色。

それを見たユーリの瞳が輝く。

「何の香料ですか?」

身を乗り出してたずねると、イリアはそっけなく首を横に振った。