「何が欲しい?」

笑みを含んだ瞳を向けられて、ローズの頬がばら色に変わる。

「全てよ。全てが欲しいわ」
「富と権力?人々の賛美?強力な軍隊?広大な領土?」

うたうように告げながら、イリアがにこりと微笑んだ。
受け容れられたと感じ、ローズは身を乗り出した。

「お母様は私が嫌いなの。お気に入りの若い男たちが、お母様の目を盗んで私に会いに来るのが気に入らないんだわ。厄介払いをするために、私をあなたのもとに嫁がせたのよ。娘の若さと美貌を妬むだなんて、ひどい母親だと思わない?」