「〜〜〜神よ、どうか我々の未来を祝福ください。」

教会に無事忍び込む事ができた猫は静かに中の状況を観察していた。

たった今、教会の中ではミサという儀式の真っ最中だった。

祭壇の所で呪文のような言葉を喋り続ける牧師、それを聞いているのかいないのか目をつむり俯きながら祈り続ける村人

猫には、この状況がまったく理解出来なかった。

なぜなら、生まれてすぐに母親をなくし天涯孤独という身でありながら、人間には外見だけで忌み嫌われるため
一つの場所に寝床を作れず町や村を点々とする日々を送ってきた猫にとって神などという曖昧なものはとても信じられる物ではなかった。

例え、猫が神の存在を認めるのだとしても人間のように希望を求め祈る事は出来ないだろう。

猫にとって、運命を決める事ができる存在など自分を不幸に陥れる絶望そのものだからだ。