兄は最初の子どもということもあってか、過保護に育てられた。


例えば、離乳食は全部手作り。
いちごの種までとっていた始末だ。

わたしは市販の離乳食だったし、わたしがお腹にいる頃から母はストレスで煙草を吸い始めた。
『二人目だったから』と言っていた。

父は兄をとても可愛がり、たくさんのおもちゃを買い与えた。

わたしは、小さい頃おもちゃを買ってもらえなかった。

わたしのおもちゃは、大きくて重たくて、錆び付いたハサミと色紙だった。
色紙だって、最初は新聞や広告を切っていたわたしが、あまりに器用に形を作ったのでやっとこ与えられたものだった。

幼稚園に入った頃には色鉛筆に変っていた。

母から小学生くらいになって聞かされた言葉
『あんたのお父さんは、娘はいらん、和貴が可愛いっていつも言ってた』と。

それを聞いても、お父さんを嫌いになることも、生まれた事を悔やむこともなかった。