あたしたちは……


美佳の感情全てを奪ってしまったのだろうか……

要らないことをしてしまったのだろうか……


「もし、もしもあんなことが起きなかったら、美佳と新君はどうなってたんだろ」


篤があたしを見る……


寮の男女共同ルームで呟いた言葉は隣の篤に届いたようだ。



「もしさ、あんな事が起こらんかったら確かに2人は幸せかもしれへんけど、きっと先生にも、歌手にもなってなかったやろな〜



2人はお互い気づいてほしくて、もしかしたら逢えるかもしれへんって、必死に夢を叶えようとしたって話やったやんな?


兄貴も、先生としていろんな人の支えになってる。美佳の歌でよぉさんの人が助けられてると思うんや……



美佳も兄貴も今までシンドイ事ばっかりやったかもしれんけど、人生は不運と幸運は半分ずつやっつ言うしな……


今からどうするか……

俺らのやってることは間違ってないって信じるしかないやんか……


今から、今から頑張ろ?」


泣き出してしまったあたしを慰めるように篤は言ってくれてる。

協力してくれへんか?

そう言われたときのように、あたしは頷くしかなかった……