そうして、持っていた合鍵で中に入ろうとしたが、
鍵が取り替えられていて開かない。

そこで、チャイムを鳴らしてみる。


だが、何度押しても反応はない。

仕方なく

〝帰ろう。〟

そう思った時だった。


「はーい。」と中から女の人の声。

姫成は思わず逃げてしまった。

物影に隠れ、中の様子を伺っていた姫成が見たのは、
ライブの日に微笑みながら悠貴に視線を送っていた女だった。