母親にしか懐かない白ちゃんだったが、僕は白ちゃんがとても好きだった。
僕のとっておいた食べ物の半分以上が彼女のお腹に入るとしたって、その気持ちに変わりはなかった。
生まれたときから、彼女は一人っ子だった僕の姉さんであり母さんであり、最後にはおばあちゃんだった。

僕は白ちゃんのたっぷりした真っ白いおなかに、ほっぺたを預けて眠るのが好きだった。
白ちゃんは贅沢三昧なだけあって、毛並みもツヤツヤしていたし、母親が買ってくるペットシャンプー(僕と父さん用のものよりも高い。)のおかげで、いつだって良い匂いがした。その匂いで鼻孔をいっぱいにすれば、僕はたちまち幸せな眠りにつくことができた。

一時間以上そうしていると、鋭い爪の餌食になるのだけれど。

お別れのとき、僕らは白ちゃんの上に母親が育てていた白いバラの花びらをたっぷり降らせて、白ちゃんが好きだったものをたくさん入れた。
一個390円の高い猫缶、ミルク、かまぼこ、ソーセージ、生ハム、サラミ、シュークリーム、アイス、苺、ふわふわの猫じゃらし、キラキラのボール、父さんの靴下。
母さんは自分のシルクのスカーフを白ちゃんの上にかけて、最後に僕と父さんで探した四つ葉のクローバーを添えて、

3人でさめざめと泣いたのだった。