そして夏莉にヒールを履かせ、玄関のドアを開けると‥



「お帰りですか?」


玄関の外でタバコを吸っている龍美が、正樹さんに心ない声で話しかけた。






「お邪魔しました」



正樹さんは龍美に軽く頭を下げ、夏莉を抱えて帰って行った。

龍美はしばらく二人を見つめたあと、家の中に入る。






「ごめんごめん。夏莉、大丈夫だった?」


龍美が玄関でサンダルを脱ぎながら、私の頭を撫でる。





「うん‥ちょっと話したら、落ち着いたみたい……正樹さんよく戻って来てくれたね?」

「ああ。俺もあいつと話してさ……夏莉んとこ戻るように説得したんだよ」