玄関のドアが開き、夏莉とゆっくり振り向くと…

正樹さんがまだちょっと怒ってる表情で、家の中に入って来た。



「………」

夏莉はびくびくしながら正樹さんから目を反らし、俯いてしまう。


すると‥

正樹さんは夏莉をヒョイと抱き抱え、私にニコッと笑顔を向けた。




「志乃ちゃん。俺らもう帰るから、今度数学のプリントは夏莉に渡してくれる?」

「‥うん、わかった…」

「迷惑かけてごめんね。今度、改めてお詫びするよ」



そう言って夏莉のカバンを持ち、玄関で靴を履く正樹さん。