信じられへんけど……
私はそんな昔から大雅に愛されてたらしい。
てっきり、あの雨の日……
虎とひょうの傘を差していた日が出会いやと思ってた。
「なんで入学してすぐに声かけへんかったん?」
「すぐに好きになるやろ?だから、悪い噂が流れてからじっくり声かけようって思っててん。でも、なかなか悪い噂なんか流れへんかった。俺って最高やから」
自信満々にそう言った大雅は、懐かしい昔を思い出すような目をした。
まだそんなに経ってへんけど、ずいぶん昔のことのように感じる。
「あの雨の日、あれはほんまに偶然やってん。杏奈が歩いてるの見えて、めちゃめちゃ緊張しててんから」
「うっそ~!あんなにえらそうやったのに。私の方が緊張したって」
「なんで?俺のこと知ってたん?」
「あんたのこと知らん子なんて学校におらんって。別に興味はなかったけど、あんたのことは知ってた。でも…… 」
うん。
興味はなかった。
バレーに生きるつもりやったし、みんなにキャーキャー言われるタイプの男子はあんまし好きくない。