俺たちはそのまま、エリナが俺と会っていられるギリギリの時間までホテルで過ごした。

「最後に」と、もう一度求められたが、さすがにそれはできず、かわりに気持ちが落ち着くまで、エリナを抱き締めてやった。

「今までありがとう。楽しかった。その人と上手く行くといいわね」

別れ際、気持ちが吹っ切れたのか、エリナはいつものエリナに戻っていた。

最後はお互い笑って礼を言い合い、別々にホテルを後にした。

泣かれたときは困ったが、それなりにいい別れ方だったと思う。

電車で二子玉川まで戻り、多摩川の土手をマンションに向かって1人抜け殻になったようにトボトボと力無く歩いた。

エリナと別れたことは、後悔していない。そうするべきだったと思っている。

今まで自分がしていたこと……

愛情のない虚しいセックスを繰り返して、女を道具としか見ていなかった自分。

金持ちの人妻と金と体だけの付き合いを重ねてきた自分を、今更のようにもの凄く汚く感じていた。