「……後でちゃんと聞くから」

本当は、今すぐに彼女の話を聞いてあげるべきなのだろう。

しかし、それを聞いてしまえば、俺は落ち着いていられなくなるかもしれない。

パニックになって、また彼女を傷つけるように責めてしまうかもしれない。

だから……

話を聞く前に、俺は……

「でも、その前に」

俺は彼女をまっすぐ見つめ、ずっと我慢していた言葉を口にした。

「あんたを抱きたい……」

はじめて彼女に向けたその言葉は、今までの性欲だけのものではなく、純粋に彼女を求める気持ちだった。

彼女が今、俺の傍にいることが夢ではないという実感が欲しかった。

彼女を俺の全てで感じたい。と。