昼メシはピザ屋のチラシを見た彼女が「食べてみたい」と言ったので、ピザを頼むことにした。今まで頼んでみたいと思いながら、1人では多いからと断念していたようだ。
チラシを見ながらピザを選ぶ彼女の姿が、もの凄い真剣で笑えた。
昼メシを終えて一息ついた後は、散歩がてら夕飯の材料を調達しに近所のスーパーに買い物に出かけた。
俺がカートを押して、2人で並んで歩きながら
「元くん、なにが食べたい?」
「俺、煮魚食べたい! 煮れる?」
「馬鹿にして! 当たり前じゃない」
夕飯のメニューを考えるときの、そんな何気ない会話や。
彼女に教わりながら、一緒に料理をすること。
ジェンガ(バランスゲーム)なんかしながら興奮したり、お互いにちょっかいを出して、じゃれ合うことも。
彼女を俺の足の間に座らせ、抱き締めながら、借りてきてあった映画のDVDを観ているときも。
どんな些細なことでも、その一つ一つが嬉しくて……愛おしくて。
その反面、彼女の小さな動き一つ一つに敏感になり、彼女の視線が時計に向けられるたびに、胸が締め付けられた。