しかし、俺はそれに気付かなかった振りをして、わざとらしいぐらい明るい声で

「せっかく久しぶりに会えたんだしさ、今日は楽しく過ごそうよ!俺、今日バイト休みだし。ゆっくりしていられるんだろ?」

と言いながら彼女の頭を軽く撫でた。

「……ええ」

「こっち、おいで」

次の言葉を失って、困惑しているような彼女の腕を軽く引き寄せ、ゆっくりと抱き締める。

トクン。トクン。と、切なく寂しい胸の音が俺の体に響く。

「すげぇ、会いたかった……」

寂しがっても仕方がない。

これからの自分たちのことを考えて暗くなっているより、せっかく今、目の前に彼女がいるんだから楽しく過ごした方がいい。

それが……いい。